Azure VPN Gateway Active/Active構成のスループット検証(リージョン内)

Posted on Oct 8, 2017

動機

焦げlogさんで、とても興味深いエントリを拝見しました。

確かにActive/Active構成にはスループット向上を期待したくなります。その伸びが測定されており、胸が熱くなりました。ですが、ちょっと気になったのは

※それと、VpnGw3 よりも VpnGw2 のほうがスループットがよかったのが一番の謎ですが…

ここです。VPN GatewayのSKU、VpnGw3とVpnGw2には小さくない価格差があり、その基準はスループットです。ここは現状を把握しておきたいところ。すごく。

そこで、焦げlogさんの検証パターンの他に、追加で検証しました。それは同一リージョン内での測定です。リージョン内でVPNを張るケースはまれだと思いますが、リージョンが分かれることによる

  • 遅延
  • リージョン間通信に関するサムシング

を除き、VPN Gateway自身のスループットを測定したいからです。焦げlogさんの測定は東日本/西日本リージョン間で行われたので、その影響を確認する価値はあるかと考えました。

検証方針

  • 同一リージョン(東日本)に、2つのVNETを作る
  • それぞれのVNETにVPN Gatewayを配置し、接続する
  • 比較しやすいよう、焦げlogさんの検証と条件を合わせる
    • 同じ仮想マシンサイズ: DS3_V2
    • 同じストレージ: Premium Storage Managed Disk
    • 同じOS: Ubuntu 16.04
    • 同じツール: ntttcp
    • 同じパラメータ: ntttcp -r -m 16,*, -t 300
  • 送信側 VNET1 -> 受信側 VNET2 のパターンに絞る
  • スループットのポテンシャルを引き出す検証はしない

結果

VpnGW1(650Mbps)

パターン  送信側GW構成      受信側GW構成         送信側スループット   受信側スループット  スループット平均  パターン1との比較
パターン1  Act/Stb Act/Stb 677.48Mbps 676.38Mbps 676.93Mbps -
パターン2  Act/Stb Act/Act 674.34Mbps 673.85Mbps 674.10Mbps 99%
パターン3  Act/Act Act/Act 701.19Mbps 699.91Mbps 700.55Mbps 103%

VpnGW2(1Gbps)

パターン  送信側GW構成      受信側GW構成         送信側スループット   受信側スループット  スループット平均  パターン1との比較
パターン1  Act/Stb Act/Stb 813.09Mbps 805.60Mbps 809.35Mbps -
パターン2  Act/Stb Act/Act 1.18Gbps 1.18Gbps 1.18Gbps 149%
パターン3  Act/Act Act/Act 2.03Gbps 2.02Gbps 2.03Gbps 256%

VpnGW3(1.25Gbps)

パターン  送信側GW構成      受信側GW構成         送信側スループット   受信側スループット  スループット平均  パターン1との比較
パターン1  Act/Stb Act/Stb 958.56Mbps 953.72Mbps 956.14Mbps -
パターン2  Act/Stb Act/Act 1.39Gbps 1.39Gbps 1.39Gbps 149%
パターン3  Act/Act Act/Act 2.19Gbps 2.19Gbps 2.19Gbps 234%

SKU視点 パターン1(Act/Stb to Act/Stb)

SKU   スループット平均  VpnGw1との比較
VpnGw1  676.93Mbps -
VpnGw2  809.35Mbps 119%
VpnGw3  956.14Mbps 141%

SKU視点 パターン2(Act/Stb to Act/Act)

SKU   スループット平均  VpnGw1との比較
VpnGw1  674.10Mbps -
VpnGw2  1.18Gbps 179%
VpnGw3  1.39Gbps 211%

SKU視点 パターン3(Act/Act to Act/Act)

SKU   スループット平均  VpnGw1との比較
VpnGw1  700.55Mbps -
VpnGw2  2.03Gbps 297%
VpnGw3  2.19Gbps 320%

考察と推奨

  • リージョン間の遅延やサムシングを除くと、SKUによるGatewayのスループット差は測定できる
    • Act/Actでないパターン1(Act/Stb to Act/Stb)で、その差がわかる
  • 公式ドキュメントの通り、GatewayのAct/Act構成は可用性向上が目的であるため、スループットの向上はボーナスポイントと心得る
    • 期待しちゃうのが人情ではありますが
    • VpnGw2がコストパフォーマンス的に最適という人が多いかもしれませんね 知らんけど