April 26, 2019

作りかけのAKSクラスターにTerraformで追いプロビジョニングする

何の話か

CLIやポータルで作ったAKSクラスターに、後からIstioなどの基盤ソフトや運用関連のツールを後から入れるのが面倒なので、Terraformを使って楽に入れよう、という話です。アプリのデプロイメントとは分けられる話なので、それには触れません。インフラ担当者向け。

動機

Azure CLIやポータルを使えば、AKSクラスターを楽に作れます。加えてAzure Monitorとの連携など、多くのユーザーが必要とする機能は、作成時にオプションで導入できます。

ですが、実際にAKSクラスターを運用するなら、他にも導入したいインフラ関連の基盤ソフトやツールが出てきます。たとえばわたしは最近、クラスターを作る度に、後追いでこんなものを入れています。

  • Istio
  • Kured (ノードOSに再起動が必要なパッチが当たった時、ローリング再起動してくれる)
  • HelmのTiller (helm initで作ると守りが緩いので、localhostに限定したdeploymentで入れる)
  • AKSマスターコンポーネントのログ転送設定 (Azure Diagnostics)
  • リアルタイムコンテナーログ表示設定

kubectlやAzure CLIでコツコツ設定すると、まあ、めんどくさいわけです。クラスター作成時にAzure CLIやポータルで入れてくれたらなぁ、と思わなくもないですが、これらがみなに必要かという疑問ですし、過渡期に多くを飲み込もうと欲張ると肥大化します。Kubernetesエコシステムは新陳代謝が激しいので、現状の提供機能は妥当かな、と感じます。

とはいえクラスターを作るたびの追加作業量が無視できないので、わたしはTerraformをよく使います。Azure、Kubernetesリソースを同じツールで扱えるからです。環境をまるっと作成、廃棄できて、とても便利。今年のはじめに書いた本でも、Terraformの活用例を紹介しています。サンプルコードはこちら

で、ここまでは、Terraform Azure Providerが、使いたいAKSの機能をサポートしていれば、の話。リソースのライフサイクル管理はTerraformに集約しましょう。

そしてここからが、このエントリーの本題です。

AKSはインパクトの大きな機能を、プレビューというかたちで順次提供しています。プレビュー期間にユーザーとともに実績を積み、GAに持っていきます。たとえば2019/4時点で、下記のプレビューが提供されています。

これらの機能に、すぐにTerraformが対応するとは限りません。たいてい、遅れてやってきます。ということは、使うなら二択です。

  1. Terraformの対応を待つ、貢献する
  2. Azure CLIやポータルでプレビュー機能を有効化したクラスターを作り、Terraformで追いプロビジョニングする

インパクトの大きい機能は、その価値やリスクを見極めるため、早めに検証に着手したいものです。早めに着手すれば、要否を判断したり運用に組み込む時間を確保しやすいでしょう。そしてその時、本番に近い環境を楽に作れるようにしておけば、幸せになれます。

ということで前置きが長くなりましたが、2が今回やりたいことです。本番のクラスター運用、というよりは、検証環境のセットアップを楽に、という話です。

意外に知られていない Terraform Data Source

Terraformを使い始めるとすぐにその存在に気付くのですが、使う前には気付きにくいものがいくつかあります。その代表例がData Sourceです。ざっくりいうと、参照用のリソースです。

Terraformはリソースを”API Management Resource(resource)“として定義すると、作成から廃棄まで、ライフサイクル全体の面倒をみます。つまりresourceとして定義したものをapplyすれば作成し、destroyすれば廃棄します。いっぽうでData Source(data)は参照用ですので、定義したリソースに、変更を加えません。

CLIやポータルで作った、すでにあるリソースに対して追いプロビジョニングをするのに、Data Sourceは有用です。周辺リソースを作るのに必要な情報を取得できるからです。

たとえば、AKSマスターコンポーネントのログをLog Analyticsへ転送するために、Azure Diagnoticsリソースを作成するとしましょう。作成には、対象となる既存AKSクラスターのIDとLog AnalyticsのWorkspace IDが要ります。IDとは、

/subscriptions/hogehoge/resourcegroups/fugafuga/providers/Microsoft.ContainerService/managedClusters/hogefuga

とかいうやつです。いちいち調べるの、めんどくさい。

そこで、AKSクラスターとLog AnalyticsのWorkspaceをdataとして定義します。

data "azurerm_kubernetes_cluster" "aks" {
  name                = "${var.aks_cluster_name}"
  resource_group_name = "${var.aks_cluster_rg}"
}

data "azurerm_log_analytics_workspace" "aks" {
  name                = "${var.la_workspace_name_for_aks}"
  resource_group_name = "${var.la_workspace_rg_for_aks}"
}

それを次のように、resource作成時に参照できます。

resource "azurerm_monitor_diagnostic_setting" "aks" {
  name                       = "diag_aks"
  target_resource_id         = "${data.azurerm_kubernetes_cluster.aks.id}"
  log_analytics_workspace_id = "${data.azurerm_log_analytics_workspace.aks.id}"

  log {
    category = "kube-apiserver"
    enabled  = true

    retention_policy {
      enabled = false
    }
  }
}

また、Kubernetesを操作するProvider登録時に、認証情報を渡すこともできます。

provider "kubernetes" {
  load_config_file       = false
  host                   = "${data.azurerm_kubernetes_cluster.aks.kube_config.0.host}"
  client_certificate     = "${base64decode(data.azurerm_kubernetes_cluster.aks.kube_config.0.client_certificate)}"
  client_key             = "${base64decode(data.azurerm_kubernetes_cluster.aks.kube_config.0.client_key)}"
  cluster_ca_certificate = "${base64decode(data.azurerm_kubernetes_cluster.aks.kube_config.0.cluster_ca_certificate)}"
}

こうしておけば、TerraformがKubernetesを操作できます。以下はkured用のサービスアカウントを定義する例です。

resource "kubernetes_service_account" "kured" {
  metadata {
    name      = "kured"
    namespace = "kube-system"
  }
}

なお、Terraform実行ホスト上のKubernetes configファイルを使って対象のクラスターを指定、認証することもできます。要件に合わせて選択しましょう。

ここまでを、まとめます。Azure CLIやポータルを使って作ったAKSクラスターに対し、TerraformのData SourceやKubenetesのconfigファイルを使って属性、認証情報を取得し、追加プロビジョニングを一括で、楽にできる、という話でした。

サンプル

ではどんなことができるのか、サンプルをGistに置いておきました。

サンプルコード

冒頭で挙げた、以下リソースの導入や設定ができます。

  • Istio
  • Kured
  • HelmのTiller
  • AKSマスターコンポーネントのログ転送設定
  • リアルタイムコンテナーログ表示設定

HelmとIstioは開発の流れが速いので、ワークアラウンド多めです。詳細はソース上のコメントを参考にしてください。

使い方

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