Azure VPN Gateway Active/Active構成のスループット検証(リージョン内)
動機
焦げlogさんで、とても興味深いエントリを拝見しました。
確かにActive/Active構成にはスループット向上を期待したくなります。その伸びが測定されており、胸が熱くなりました。ですが、ちょっと気になったのは
※それと、VpnGw3 よりも VpnGw2 のほうがスループットがよかったのが一番の謎ですが…
ここです。VPN GatewayのSKU、VpnGw3とVpnGw2には小さくない価格差があり、その基準はスループットです。ここは現状を把握しておきたいところ。すごく。
そこで、焦げlogさんの検証パターンの他に、追加で検証しました。それは同一リージョン内での測定です。リージョン内でVPNを張るケースはまれだと思いますが、リージョンが分かれることによる
- 遅延
- リージョン間通信に関するサムシング
を除き、VPN Gateway自身のスループットを測定したいからです。焦げlogさんの測定は東日本/西日本リージョン間で行われたので、その影響を確認する価値はあるかと考えました。
検証方針
- 同一リージョン(東日本)に、2つのVNETを作る
- それぞれのVNETにVPN Gatewayを配置し、接続する
- 比較しやすいよう、焦げlogさんの検証と条件を合わせる
- 同じ仮想マシンサイズ: DS3_V2
- 同じストレージ: Premium Storage Managed Disk
- 同じOS: Ubuntu 16.04
- 同じツール: ntttcp
- 同じパラメータ: ntttcp -r -m 16,*, -t 300
- 送信側 VNET1 -> 受信側 VNET2 のパターンに絞る
- スループットのポテンシャルを引き出す検証はしない
結果
VpnGW1(650Mbps)
パターン | 送信側GW構成 | 受信側GW構成 | 送信側スループット | 受信側スループット | スループット平均 | パターン1との比較 |
---|---|---|---|---|---|---|
パターン1 | Act/Stb | Act/Stb | 677.48Mbps | 676.38Mbps | 676.93Mbps | - |
パターン2 | Act/Stb | Act/Act | 674.34Mbps | 673.85Mbps | 674.10Mbps | 99% |
パターン3 | Act/Act | Act/Act | 701.19Mbps | 699.91Mbps | 700.55Mbps | 103% |
VpnGW2(1Gbps)
パターン | 送信側GW構成 | 受信側GW構成 | 送信側スループット | 受信側スループット | スループット平均 | パターン1との比較 |
---|---|---|---|---|---|---|
パターン1 | Act/Stb | Act/Stb | 813.09Mbps | 805.60Mbps | 809.35Mbps | - |
パターン2 | Act/Stb | Act/Act | 1.18Gbps | 1.18Gbps | 1.18Gbps | 149% |
パターン3 | Act/Act | Act/Act | 2.03Gbps | 2.02Gbps | 2.03Gbps | 256% |
VpnGW3(1.25Gbps)
パターン | 送信側GW構成 | 受信側GW構成 | 送信側スループット | 受信側スループット | スループット平均 | パターン1との比較 |
---|---|---|---|---|---|---|
パターン1 | Act/Stb | Act/Stb | 958.56Mbps | 953.72Mbps | 956.14Mbps | - |
パターン2 | Act/Stb | Act/Act | 1.39Gbps | 1.39Gbps | 1.39Gbps | 149% |
パターン3 | Act/Act | Act/Act | 2.19Gbps | 2.19Gbps | 2.19Gbps | 234% |
SKU視点 パターン1(Act/Stb to Act/Stb)
SKU | スループット平均 | VpnGw1との比較 |
---|---|---|
VpnGw1 | 676.93Mbps | - |
VpnGw2 | 809.35Mbps | 119% |
VpnGw3 | 956.14Mbps | 141% |
SKU視点 パターン2(Act/Stb to Act/Act)
SKU | スループット平均 | VpnGw1との比較 |
---|---|---|
VpnGw1 | 674.10Mbps | - |
VpnGw2 | 1.18Gbps | 179% |
VpnGw3 | 1.39Gbps | 211% |
SKU視点 パターン3(Act/Act to Act/Act)
SKU | スループット平均 | VpnGw1との比較 |
---|---|---|
VpnGw1 | 700.55Mbps | - |
VpnGw2 | 2.03Gbps | 297% |
VpnGw3 | 2.19Gbps | 320% |
考察と推奨
- リージョン間の遅延やサムシングを除くと、SKUによるGatewayのスループット差は測定できる
- Act/Actでないパターン1(Act/Stb to Act/Stb)で、その差がわかる
- 公式ドキュメントの通り、GatewayのAct/Act構成は可用性向上が目的であるため、スループットの向上はボーナスポイントと心得る
- 期待しちゃうのが人情ではありますが
- VpnGw2がコストパフォーマンス的に最適という人が多いかもしれませんね 知らんけど