クラウド = 発電所?
思考停止してないだろうか
クラウドコンピューティングは、発電所に例えられることが多いです。そのうちみんな自家発電をやめて、発電所に任せるようになるよ、と。ふーん、そうかもなぁ。
でも本当にそうなんでしょうか。雰囲気だけで、ちゃんと考えてない、思考停止している気がしています。
本当に発電は大規模発電所任せ?
最近CMでよく見ますが、エネファームってご存じですか。これ、ざっくり言うと戸別の発電所じゃないでしょうか。エネルギーは、使うところの近くで作った方が効率的なので、こういう仕組みが出てきたんでしょうね。
戸別の発電は、将来的には燃料電池など新しい技術も使われて、さらに普及するんじゃないでしょうか。使う人の近くで、その使い方に合わせて発電した方が、合理的ですものね。
オンプレIT基盤は無くなる?
で、クラウドの話です。オンプレミスのIT基盤は無くなって、全部クラウドに移ってしまうのでしょうか。でも、もしその考えが「発電所のように」という根拠であれば、「従来の」という前提が要ります。なぜなら、発電の仕組みも進化しているので。エネファームのように。
ネットワーク遅延を考えれば、処理する場所の近くにデータがあったほうがいいですよね。利用者みんなが、クラウドが動くデータセンターの近くにいるわけではないので。
また、発電所は、ピークに合わせて設備投資をしています。いっぽうで、いざというとき、あなたの契約しているクラウドは、契約者全員が使えるだけの能力を供給できるでしょうか。ピークに合わせて設備投資しているでしょうか。そもそもピークをどう定義しているでしょうか。災害時にそれを期待した利用者の需要で、パンクしないでしょうか。
そのインフラ知識は捨てないほうがいい
発電の世界で燃料電池が期待されているように、ITの世界でも不揮発性メモリなど、その使い方が大きく変わるイノベーションの種が研究開発されています。普段は電源を切っておいて、処理するときだけ瞬時に起動、処理、また停止するようなコンピュータ。家とかオフィスに置きたくないですか。性能的にも経済的にもリスク管理的にも、合理的かもしれませんよ。
そして、その設備ではリソースが足りない、読めない、あまり使わないものはクラウドに置き、動かせばいいのではないかと思います。あと、クラウドのほうが、いいものをすぐに使える場合。SaaSとか。
「未来はどっちだ」という白か黒かの議論をして、どちらかと心中する必要はありません。どっちも使えばいいです。かっこいい言い方をすると、ハイブリッドです。
なので、「クラウド時代に自分で基盤作ることなんてなくなるから、インフラの知識はもう要らないよね」とか言って、せっかく身につけたハードウェア、ITインフラの知識は、捨てるどころか磨いた方がいいですよ。知識は荷物になりません、あなたを守る懐刀。